・1600 Sporty Deluxe Hard・top(1972ー1975 KC110)

 

アオシマ 1/24ザ・スカイラインシリーズ スカイラインHT2000GTX(KGC110)改造 

ザ・チューニングカーシリーズで登場して、今日にいたるまで長く販売されているこのキット・・・

 

前作GTX-ESに次いでケンメリ改造第2弾は、これまたマイナーな4気筒モデルのしかも最廉価グレードのデラックス。こんなレアなものを作るのも私ぐらいなものでしょう。こんなん乗ってる人おるんかいと思うでしょうが、私は昔(20年以上前)一度だけ見たことがあります。それも、ブライトブルーメタの・・・。家の近所に駐車していてスーツ姿の男の人が二人乗っていったのを、なぜか今でも覚えています日産プリンスのセールスマンだったりして・・・。).

 

制作、改造にあたって大雑把にまとめると・・・

・ボディ形状の変更

・4気筒モデルとするため全長(フロントセクション)の短縮

・フロントグリルの自作

1ボディの改造

GTX-ESの項でも述べてますが、このキットのボディの、最大の欠点は、前からみたときの側面の、断面形状。サーフィン・ライン以外は、平たいうえに、下端部の絞り込みが、足りない事だった。

この作品も同様の作業を行った上で寸法を詰める訳なんですが、基本的にGTのノーズを短くすれば良い訳でフロントのホイール・アーチの前側と、後ろ側を、垂直に、カット。それぞれ3、4ミリ位ずつ寸法をつめて、瞬間接着剤を用いてつけました。正確には前側4.7ミリ、後ろ側3.9ミリなのですが、作例では、元のキットがオーバースケール気味なこともありバランスを考えそこまで詰めませんでした。

 また、ボンネットは、形状(プレス)が異なるので加工段階でボンネットを切り離して、1.2ミリプラバンで、新たに製作。スカッフ・プレート(ボンネットとフロント・ウインドウの間のパネルで、この部分は共通)の形にあわせて中央部の突起を0.5ミリプラ板を張り合わせ、ボンネットの形状を作っていく。

色は、前期型ハードトップのイメージ.カラーのブライト・ブルー・メタリック。グンゼMrカラーのNO65インディーブルーにNO66デイトナグリーンを混ぜさらに、NO8シルバーも少量いれた(混合比ブルー10にグリーン3か4位、シルバーが1と言った所)ものを下地に、その上から、NO50クリアー・ブルーを吹いて最後にNO155スーパークリアーで仕上げた。
着色クリアーを吹くときは、均一に吹かないとむらが出来るので慣れないと難しいものの上手く行けば、ふつうのメタリックよりも綺麗に仕上がるのでおすすめではあります。

そして、窓ガラスを接着した翌日、悲劇は起こった。

なんと!ルーフ前端の一部が凸凹になってやがったーーー!!!んが〜!
接着する際、モデラ−ズのさらさらタイプを使ったのですが、じつは、この作品、最初から組んだのでなく、もともと、GT−Xに組んだ物を、ばらしたものをベースにしたためで、最初に組んだ段階でつけた接着剤で弱くなったところに強力なモデラーズのもので追い討ちをかけてしまったようです。こんなことならケチらずに新品から作るべきだった〜。(号泣。)まあそれでも、角度によっては、さほど気にはならないしまた一から作り直すことを考えれば、(なんせ色がものすごく綺麗に塗らさっているし)まあ、気にならないか・・・と、自分に言い聞かせてそのまま。なによりこの部分を直すにしても、かなり大変だし。(何故ならこの部分接着剤のせいで、柔らかくなっている為、パテを盛っても固まらなく、いたずらに傷口を広げるだけだろうと思うので。)

あと、リヤガラスは、熱線が装備されてないのでのモールドをけずって、ペーパーとコンパウンドを使ってピカピカに磨いておく。

フロントグリルはこれで、ケンメリ用自作第3弾。
しかも、今度は完全に一から製作。プラ板で枠組み、ライト部は青島のローレルのライトリムをスライス、長谷川のエッチングメッシュのひし形も組み合わせ・・・て完成させたあと、実車のカタログが手にはいってよくよくみてみると・・・6角形やないのー。くっつけた後なので直しようもないので、そのまんま。
 ヘッドライトはモデラーズのライトセットのシールドビームとフジミのケンメリGT−Rの反射鏡の組み合わせ。前後のバンパーもおなじくフジミのケンメリGT−Rの物を使用。またリヤ・ガーニッシュは、セダンと違ってグレードを示すバッチの違いのみで、さらに、デラックスの場合、バッチそのものすらないので、2000GTXのバッチを削っておしまい。(いや〜他のとこもこうだといいんだけどね〜)
 バッチといえば、左右リヤフェンダーに付くSkylineの書体もGT系と4気筒系では、異なっていて、4気筒系では、ハコスカのものと同じなので、田宮のGT−Rのものを贅沢にも用いました。また、隣のグレードを表すバッチはデラックスだと、6角形のものなので、余ったメタルインレットを用いて加工しました。本来DELUXEの文字が入りますが、こんな細かい字を書くのは到底無理。そのままにしました。ワイパーは、モデラーズの物をペーパーをかけて、黒メッキを剥がして使用。フェンダーミラーは、日東(現フジミ)のヨタハチのステ−に、イマイの初代シルビアの鏡面の組み合わせ。でも本当は、GT用のタルボミラー(死語?)もオプションで設定があったので、そのままでもいいかな、とも思ったんですが、やっぱりここは、最廉価グレードということに敬意を表して?!あえてこだわってみました。

 次にシャシーも、同じく寸法を、詰め補強を施しておくと共に加工したボディに合わせ横幅も詰めておく。タイヤとホイールは、タミヤ1/24ロータススーパー7の13インチスチールホイールとタイヤを使用、本来ホイールカバーが着くけどさすがにこれはつくれないので・・・。最初、この車に見合うアルミ・ホイールを履かそうかとも思いましたが、それじゃあ西部警察に出てきてすぐに壊される仕様になりそうなんでやめました。

他にリヤマフラーと、リーフスプリングを追加。マフラーは適当なサイズの物を加工し金属パイプをつけリ−フ・スプリングは青島の330グロリアの物を使用。

内装は、またもほとんど作り直し。

シートは、青島のハコスカGTの物を加工。中央部のクッション部を切り取り、プラ板で加工した物と入れ替え横柵を、立て柵に。センター・コンソールは、このグレードには無いので、センターのトンネル部をパテを用いて作成。シフト・レバーは長谷川の510ブルーバードより、サイドブレーキ・レバーは、田宮のハコスカより、それぞれ流用。インパネは、キットの物を、メーターパネル部をくり抜き、新たにプラ板で作ったパネル(GTの7眼メーターに対し4気筒車は3眼メーターとなる。)にくり抜いたメーターパネルよりベンチレーター操作パネルと、使わないセンターコンソールよりラジオの操作パネルを切り取って取り付ける。ステアリングはキットに入っているローレル用の物を加工。(3本スポークの1本を切り取って2本スポークにしている。)本当なら、ドアの内張りも作るべきなんですが、資料不足の為、見送りました。(すいましぇん・・・。涙)内装の色は、ボディ・カラーに合わせブルー系。グンゼのNO,5ブルーにNO,30フラット、ベースを混ぜ、ダッシュ・ボードと、フロアと、リヤ・トレイを塗ったあと、NO,1ホワイトを混ぜやや艶ありの状態にして,シートを塗装。


まとめ

こうして完成した、ショート・ノーズ・バージョン。本当いえば、完成に漕ぎ付けれるかどうかまったくもって自信がありませんでした。なんせ、手をかけたのが、5年以上も前だったんですから(つまりGTX−ESよりも前からやっていた)しかも、きっかけは、7年位前に単なるリペイントをするつもりでばらしたら、この(ベースとなったGT−Xの)キットが再販され(実は当時このキット生産休止で手に入らなかった)そっちを買って手を加えたほうが早いという結論に達し,(ちなみにそのときに作ったのが、GTX−ES製作記の冒頭で述べた物。)しばらく放ったらかしておいたものの、捨てるのも忍びなく、(実は,一度完成させた際,北海道のモデラーの祭典“HME”(ホッカイドウ・モデラーズ・エキシビジョン)に個人参加した際,出品したものなんです。もっとも、今にしてみればよくこんなん出したなーというくらいレベルの低い(、と自分では思っている)作品ではありますが・・・。って今でもあんまり変わらんか・・・。)ま、それはともかく、またおなじGT−XやGTにするのも芸が無いし(ちなみにこのときは、札幌の短大在学中で、GTX−ESのパーツは見つからなかった)どうせレストアやるなら昔見たこともあるこのタイプに改造しよう、と思い立った際,ラッキーにも、初期のケンメリの新車紹介記事の載った本や、カタログ(4気筒版の初期の物。ただしセダンだけど・・・。)を手に入れたおかげもあってここまでくる事が出来ました。上級モデルのGT系ももちろんいいけど、こっちの素のままのデラックスもなかなかいいかなーなんて思うんですよね・・・。

昔一度だけ見たあのメタリック・ブルーのハードトップデラックス・・・

もうとうの昔に廃車になったのか、それとも、いまは大事にどこかの車庫の中にしまわれてるのかはっきりいってわからないし、知る術も無い。

だけど、・・・もし、今でも手元にあるのなら,これから先も,大事にのってやってください。そして、もし手放さなければならなくなった時,本当にこの車のことを大事にしたいと思うあたらしいオーナーに,キーを譲ってあげてください。これは、今はもう旧車といわれる車を所有している人たちへの私からのささやかなメッセージ。なんて、ちょっとキザでしたね。

参考資料

二玄社刊 カーグラフィックNo138 1972年11月号

日産自動車刊 ニッサンスカイラインセダン1600・1800カタログ

(掲載日2004年4月10日)

 

Frontへ戻る SkylineC110へ戻る  Showroom"Nissanへ戻る